OEMは、Original Equipment Manufacturer の略称です。
委託者のブランドで製品を生産すること、またはそのメーカーを指します。
文字通り、他社に生産を委託することです。
自動車産業を中心として活用される機会が増えているため、以前に比べOEMという言葉が浸透しつつあります。
昨今ではスーパーマーケットなどのプライベート商品をOEMで生産することから、主婦層にもよく知られる単語になっています。
自動車や食料品などに拡大したOEMは現在アパレル業界にも広まりを見せており、企画力と販路は有しているものの生産力が乏しい業者が生産力を有している業者に依頼し、アパレルの製造工程を委託するビジネスが拡大しています。
ODMは、Original Desingn Manufacturer の略称です。
委託者のブランドで製品を設計から生産まで行うことを指します。
OEMは生産だけですが、ODMだと設計から生産までを委託することになります。
アパレル業界では、アメリカのブランドで『Forever21』がODMを採用して成功を収めていることで有名です。
具体的な流れはアパレルブランドが掲げたコンセプトを基本として、製造業者にて商品企画をし、製品サンプルが作成されます。
委託業者は製品サンプルを確認して、発注するかしないかを判断します。
アパレルOEMのメリット・デメリット
OEM生産のメリットは、自社に企画力と販路さえあれば製造を目的とした工場や設備を大きな資金を投じて設ける必要性が無い事であり、同時に高い技術力を有している人材を雇う必要性が無いことから人件費の抑制にも繋げられる点が挙げられます。
簡単に言うとコスト削減につながります。
もう一つのメリットは、設備投資や人件費に資金を投資しなくても、技術力・生産力を手に入れることができます。
例えば、Tシャツを専門的に製造しているアパレルメーカーがクライアントからTシャツに合わせたキャップも手がけてほしいと依頼された場合、Tシャツは得意だがキャップは手がけたことがないため断るしかない状況になります。
ですが、要望に応えることができない場合、クライアントやアパレル業界全体から企業の価値が低く見られることにつながり、ひいてはビジネスチャンスを逃す要因を生んでしまいます。
そこで、OEMを活用すればキャップや帽子の製造に長けている業者に企画を持ち込み、Tシャツに合うコンセプト通りのキャップの製造を依頼すれば、クライアントの要望に応えられます。
反対にアパレルOEMのデメリットは、一番に生産コストです。
自社生産よりは追加のコストが必ずかかります。
ですが、自社の設備投資や人件費を考えるとコスト削減にもつながるため、販売利益が見込めるか否かがキモとなります。
次に自社部門の衰退が挙げられます。
生産部門の経験・技術習熟の機会が減少します。
極端に言えば、将来的に生産部門の弱体化や生産を外注しないと成り立たない組織になるかもしれません。
情報流出のリスクもあります。
自社の技術・ノウハウを提供しての依頼となるため、将来的にOEM受託会社が自社の競合になる可能性があります。
■関連記事
アパレルOEMを行う際の注意点
アパレルOEMが失敗する要因
アパレルODMのメリット
ODM生産のメリットは、製品がサンプルになるまでの工程を委託者側が省略できる点が挙げられます。
企画開発に至るまで外部業者にお任せするので自社内にて企画開発を目的としたチームを発足させる必要が無く、固定費の削減になります。
しかも、ODMを行う際には一社のみに依頼するのではなく、一つのブランドが複数の業者に対して依頼するコンペのような形式になるので、より良い物が製品化させやすい上に企画から販売まで迅速に進められるというメリットもあります。
アパレルODMのデメリットとして考えられるのは以下の点です。
・販売価格の上昇
追加コストがかかるため、販売価格が上がることが予想されます。
・自社成長につながりにくい
製品企画から製造までを委託するため、その過程の自社ノウハウは欠如します。
・コスト・品質のコントロールが困難
サンプルで確認していても、製造過程のコスト管理・品質チェックができないため、完全に管理・コントロールができません。
・オリジナリティの欠如
自社製品が他社製品と似通っている可能性が出てきます。
企画から委託してしまうため、販売開始後に他社商品と似通っていると気づくという話はよく伺います。
他にも、長期的なお付き合いになってくると、ODM委託先の変更は難しくなるため、受託会社が交渉の主導権を握りパワーバランスが崩れてしまう危険性もあります。
長期的に信頼関係を築ける取引先を見つけるのが最善です。
アパレルOEMとODMの違い
■アパレルOEM
商品の生産・製造だけを委託する。
技術レベルは委任側のほうが高いケースが多い。
委任側が主体の取引。
■アパレルODM
企画・製造・マーケティングなど多岐に渡るサービスを委託する。
技術レベルは受託側のほうが高い。
委託側・受託側が対等な関係。
まとめ
OEMとODMは似ていますが、それぞれに特徴があります。
定番商品など長期間にわたって同一製品を安定的に製造し続けるという目的ではOEMを選定し、話題性が高い企画物などはODMを採用するといった使い分けをするのがオススメです。
OEMとODMの違いと特徴を理解した上で、自社に合った方法を採用してみてください。